フランス人の道 2017


Etapa 1 : Saint-Jean-Pied-de-Port --> Roncesvalles 02.05.2017





昨晩はすごいいびきと悪夢にうなされて叫んでいる人がいたりして、寝つきが悪かった。
5:30 には目が覚めてしまい、荷造りを始めた。
6:30 朝食。



テーブルにはニュージーランドの親子、ドイツ人女性、デンマーク人男性、アメリカの若者、ブラジル人カップルと国際色豊か。
テレビで天気予報をチェック。
今日は1日雨。風も強く、霧も出る。山では雪が降ることもありそう。
昨日は快晴でピレネー越えには最高の日だったのに、一日違いでこんなに変わるとは…。
7:10 出発。
アルベルゲを出て、10mも歩かないうちに雨が降り出した。
川の手前に建つスペイン門を潜り、Santiago de Compostelaまでの巡礼が始まった。


でもまだどっちの道を進むのか決めていない。
Roncesvallesへ行くにはピレネー越えの山岳ルートと国道沿にValcarlosを経由するルート。


スペイン門を潜り、Saint-Jean-Pied-de-Port のゲートを抜け50mほど進むと道が左右に分かれ、どちらのルートを行くのか選ばなければならない。
左が山岳ルートで右が国道沿いのルート。
これから始まる1ヶ月の巡礼の初日に無理をしたくないという気持ちが働き、国道沿いのルートを進むことにした。
歩き始めてすぐに後ろから声をかけられた。
片言の英語でこれは国道沿いのルートかと聞いてきたので、そうだと答える。
イタリア人男性の2人組。AndreaとFernando。
ヒゲを生やしがっしりした体型のAndreaと細身で丸メガネをかけたFernando。
Andreaは片言の英語を話すが、Fernandoはイタリア語オンリー。
しばらく国道を進んだ後、国道に沿った脇道を進む。


突然ショッピングセンターが現れた。
フランスとスペインの国境沿いの町Arneguy。
スーパーに併設されているカフェテリアでコーヒー休憩。


さすがにイタリア人だけあって、頼むのはカフェ・コン・レッチェではなく、エスプレッソ。
店員にここはフランスかスペインかと尋ねると、「Navarra」だと返答された。
スペインは民族意識が高い地域があり、カタルーニャ地方のようにスペインからの独立を望む人が多いところもある。
ここもスペインではなくナバラということなのだろうか?
休憩を終え、再び国道沿いのルートに戻る。ここからValcarlosの村まで3km。
道路は広いが歩道はないので、左側を一列になって進む。
山を越える道なのでカーブが多く、緩やかな上りが延々と続く。
国道沿いの村Valcarlosで先行する巡礼者達と出会う。


村を抜けると再びカーブの多い道に戻る。
この辺りでAndreaが遅れ始める。上り坂が苦手なようだ。
平地や下りはさっさと歩くのだが、上りになると急に歩みが遅くなる。
それに反し寡黙なFernandoは、常にマイペース。ほぼ同じペースで黙々と歩く。
しばらくしてついに国道から逸れるルートになった。
林の中を進むと小さな小さな村落Gañecoletaに着く。
その村落を抜けたところから渓流沿いのルートにを進むことに。


ここからRoncesvallesまで8.5kmと標識には書いてあったが、実際にはその倍近くに感じる険しい山道が続いた。
この渓流沿のルートに入る直前に後ろを振り返るとAndreaとFernandoは確かにいたのだが、渓流沿の幅の狭い脇にフェンスもない道を注意しながら進み、しばらくして後ろを振り返ると2人の姿はなかった。
少し待ったが来ないので、先に行くことにした。
一旦国道に戻る。
Zabaletaで再び山道に戻る。


道幅が30cm程の狭い道が続く。
所々左側が崖になっているので、慎重に歩かないと危ない。




14:10 1日目の行程を歩ききった。
アルベルゲの扉を開けるとすごい人だった。
バックパックを通路の脇に置き、受付の列に並ぶ。
1時間ほど待ってやっと自分の番が回ってきた。
用紙に氏名と住所を記入し、宗教や巡礼の動機などを項目から選ぶ。
身分証明書とCredencialを渡すと、Credencialにスタンプを押してくれて、夕食(10€)と朝食の希望を聞かれる。
自分は朝食付き(15.5€)で予約してあったので、夕食だけ追加を払い受付完了(15:30)。


全身びしょ濡れなので、まずはシャワーを浴びる。
余り熱いお湯は出ないが、雨で冷え切った体にはありがたい。
びしょ濡れになった服一式を持って地下へ。
ここでは自分で洗うのではなく、Hospitaleroと呼ばれる世話係が洗って乾燥までしてくれる。
カゴに服を入れ、テープに名前とベッドの番号を書き3.50€を払う。
4時間後には出来上がっているとのこと。
2段ベッドが向かい合わせになって1区画。それがいくつも並んでいる。
自分は下の段。向かいのベッドはドイツ人女性。
上の段2つには日本から来た女性2人。ChihiroさんとMifuyuさん。2人は連れではなく、こちらで知り合ったとのこと。
果たしてアルベルゲの受付が気を使ってくれたのだろうか?
久しぶりに日本人に会ったので嬉しかった。
彼女たちは7時からの夕食に行ったので、外に出てみたが雨がまた降り出してきたので戻り、8時に洗濯物を取りに行った。
ここにはLa PosadaとLa Sabinaの2軒しかレストランがない。








Etapa 2 : Roncesvalles --> Zubiri 03.05.2017




朝7時に昨日夕食をとったレストランで朝食。ほとんどの人は出かける準備をしているので、食べたらすぐに歩き始める。

自分は朝食後アルベルゲに戻りそれから出発。

Santiago de Compostelaまで790kmが、気持ちを引き締めてくれる。


Etapa 3 : Zubiri --> Pamplona 04.05.2017





5:30 4人しかいない部屋にひとりイビキのすごい人がいて、目が覚めた。
小さな懐中電灯を頼りに出発の準備を始める。
6:30 朝食。
7:00 巡礼3日目を始める。
昨日渡った石橋を再び渡りZubiriを後にする。
国道N-135とRío Arga(アルガ川)に沿って巡礼路を進む。



上り下りを繰り返しながら進むと右手に1945年から創業しているマグネシウム工場と採石場が見えてくる。



8:10 Ezkirotzの村落を通過。


この辺りからお腹の具合がおかしくなってきた。
我慢しながら歩いているので、周りの景色が目に入ってこない。
いつの間にかにLarrasoañaは通過してしまったようだ。
この辺りの記憶は余りない。
8:42 Aquerretaの集落を通過。
9:20 Zuriáinでアルガ川を渡り右岸へ。


9:45 橋のたもとにあるカフェテリアでコーヒーを飲み、用を足す。少し落ち着く。


おまけにCredencialにスタンプも押してもらう。
しばらく国道沿に歩かなくてはならない。


再び脇道に入り10:10 Irotz の村を過ぎ、川と麦畑の間の舗装された道を進む。


Zabáldicaで橋を渡り、アルガ川に並行する公園と国道の間の細い道を進む。
Arietaで国道の下をくぐり右手に出る。
トイレのある公園を抜け山道を上って行く。
上り切ると急な下りが始まるり、しばらくして再び国道の左に出る。
11:15 しばらく緩やかな坂を下って行くとLa Trinidad de ArreのPuente mediaval(中世からの石橋)が現れ、橋を渡るとLa Trinidad de Arreの市内に入る。


再び腹の具合がおかしくなり、バルでトイレを借りる。
今日は運良くトイレがあったが、明日もこの調子だと少し心配。
ここからは市内の広い歩道にペイントされた大きな帆立貝を目印にほぼ真っすぐ進んで行く。


Burlataの村を抜け歩き続けると遠方に城壁と教会の塔が見えてくる。
突き当たりを右に進む。
12:15 ついにPamplonaの市内への入り口Puente de la Magdalena(マグダレーナ橋)を渡る。


巨大な城壁を迂回するように右に進むと城壁の堀を渡る門を通過し、それを抜け坂を上った先にPorta de Francia(フランス門)が現れる。



他の設備は普通のアルベルゲと変わらないが、ベッドがカプセル式でカーテンで仕切れ、各ベッドに照明とコンセントが付いている。ベッドの下には各自のロッカーも付いている。
とても快適。カーテンを閉めれば、心置きなくブログも書けるし、何と言っても朝暗い中懐中電灯片手に荷造りする必要がない。
シャワーと洗濯を済ませる。
13:45 お腹の調子は悪いが、食べないと身体がもたないので昼食をとる。
ヘミングウェイもよく来ていたというPlaza del Castillo(カスティージョ広場)にあるCafé Iruñaでアンティチョークと生ハムのシチューと子羊の肩肉のバーベキューを食べ、ナバーラ・ワインを飲んだ。自家製のチーズケーキとコーヒーもしっかりと。




明日はPuente la Reinaへ向かう。




Etapa 4 : Pamplona --> Puente la Reina2017.05.05 23:50



6:30 天気予報で9〜10時頃から雨が降り出すと言うことだったので、いつもより30分ほど早くPamplonaを出発。


Pamplonaの町を歩いていると前方に東洋人らしい3人組が歩いていた。そばには犬を連れた大柄なスペイン人も。
彼らが信号待ちしているうちに追いつく。
犬を散歩させているスペイン人の彼が公園の中を進みながら巡礼路を教えてくれていた。
彼も2回サンティアゴ巡礼歩きと自転車でやったと言う。
彼は親切にAlto de Perdónへの上りは ゆっくり歩き体力を温存しておいた方が良い。なぜなら足場の悪い下りの方が体力を消耗するからとアドバイスしてくれた。
3人組は日本から来た巡礼者たちで、フランスから歩いているとのこと。
今回はLeónまで歩くとのこと。
ナバラ大学のキャンパス内を進む。各国の言葉で本館でCredencialにスタンプを押します、と案内があった。



Etapa 5 : Puente la Reina --> Estella 06.05.2017





6:00 起床。
6:45 Puente la Reinaを出発。
Puente la Reina(王妃の橋)を渡り、Río Arga(アルガ川)沿に進む。




確かにここのカタツムリは綺麗で大きい。
山道を進む。昨晩の雨で粘土質の土が靴の底に張り付き歩きにくい。


7:50 Mañeru村を通過。
見渡す限りの麦畑とブドウ畑の中を進む。
かなたに空に浮かぶように丘の上に村が見えてくる。Cirauqui村だ。


8:25 Cirauqui村に到着。
中世のままのような村。迷路のような道を進む。


村を超えて丘を下るところに、ローマ時代の街道と橋が残っている。




ここからEstellaまで約3kmだ。
11:50 平坦な道をひたすら進み、Estellaに到着。


12:30 町を抜けた先にあるアルベルゲAlbergue Rocamadorに到着。
シャワーを浴び、洗濯を済ませ、ランチに出かける。
13:20 Plaza de los Fueros近くのレストランCasanovaでランチ。
週末のスペシャルメニューを頼んだが、豆のシチューも肉も最高に美味しかった。Iracheのワインも昨日飲んだものより、ずっと美味しかった。





Etapa 6 : Estella --> Los Arcos 07.05.2017





6:15 起床。
7:00 Estellaを出発。
7:13 すぐにAyegui村に到着。
ここで道が2つに分かれるが、Iracheのワインの泉に寄りたいので左に進む。



7:30 Bodegas Irache (La fuente del vino)で朝のワインを頂く。片方の蛇口からは水が、もう一方の蛇口からはワインがでてくる。




先にVillamayor de MonjardínのCastillo de San Estebanが見える。



山の頂に12世紀のロマネスク建築であるサン・エステバン城が見える。





鶏手羽先が美味しかった。
15:45 アルベルゲのSalaでブログを書いていると、大川原夫妻と山本さん達が到着された。無事に到着されて良かった。
夜、夕食を一緒にする約束をした。
20:00 サンタ・マリア教会前の広場のテラスで4人で夕食。
ナバラ州最後の夜、ナバラのワインで乾杯。
この広場は風が抜け少し寒かったが楽しい夕食だった。
とにかく3人とも明るくよく話すし、気持ちがお若い。
私もガリシア州の魅力を精一杯伝え、次回Santiago de Compostelaまで着かれた際には連絡して下さいとお伝えした。
Puente la Reinaに続きまたご馳走になってしまった。


大河原ご夫妻、山本さん、無事にLeónに到着されることをお祈りしています。



Etapa 7 : Los Arcos --> Logroño 08.05.2017





5:45 起床。大河原さん達は朝食を取るということで1階へ。
6:30 3人に別れを告げLos Arcosを出発。今日は今までより少し長く(28km)歩かなければならない。

しばらくして振り返ると朝日をバックに映し出された教会Iglesia Santa María de Palacioのシルエットに感動。

日の出少し前に出発すると素晴らしい景色に出会える。
麦畑とブドウ畑の間を真っ直ぐに進む。
左手に前方にSansolの村が見えてくる。





09.05.2017 Contratiempo y interrupción del Camino francés (不慮の事故により巡礼中断)





翌朝、目が覚めても左膝の痛みは収まらない。それどころか、トイレに行くにも杖が要る始末。



朝食は昨日買ったドーナツと水で部屋で済ます。
今後のことを考え、決断しなければならない。
もう少しここで休養し、いくつかの行程をバスで移動し、歩けるようになったところで再び歩き始めるか。
今回はLogroñoまでとし、Betanzosに帰り治療に専念し、日を改めてここLogroñoから再出発するか。
どちらとも決められないので、昼食がてら外を歩いてみることに。
やはり左足をつくたびに痛みが走り、隣のブロックに行くのが精一杯。
楽しみにしていたLogroñoでのピンチョスを頼んだが、La Riojaのワインまでは飲む気にはなれなかった。


やっとのことでホテルに戻り決心した。
昨年イギリス人の道を歩いてから綿密に計画を立て臨んだフランス人の道だったが、ここLogroñoで中断することにする。
しばらく休んで痛みが引き歩き出したとしても、またいつ再発するか分からぬ不安を抱えながら進むのではせっかくのフランス人の道を満喫することはできない。
フランス人の道はこれまでも、これからも存在し続ける。
いつでもその気になれば再開できるのだ。
すんなりと歩き続けるより、トラブルがあったほうが自分には向いているのかも。
妻の死、自分の病気を乗り越え、昨年イギリス人の道を歩いたことで自信過剰になっていたのかも。
今はとにかく膝の治療に専念し、もう一度自分を見つめ直し、身心ともに万全な状態で今度はSantiago de Compostelaまでたどり着く。
やっと気持ちが楽になった。
LogroñoからA Coruñaまでの列車のチケットを予約。
明日の朝、郵便局に行きデイパックを送れば、11日の昼にはBetanzosだ。



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